認知症は精神医学アスペクトにご紹介する

投稿者: | 2017年9月8日

1.発症の時期

医師は、問診で患者さんの家族に対して、たとえば「最初におかしいなと感じ たのは、いつごろですか?」と聞きます。いつごろからどのような症状が現れたという始まり方は、認知症を引き起こした基礎疾患の種類によって異なるからです。たとえば、アルツハイマー病(AD)など、神経細胞が変性して病気を引き起 こす変性性認知症疾患の場合は、いつと はなしに慢性に進行することがほとんど です。このため年齢相応のもの忘れと病 的なものについての境界が、はっきりし ない場合も少なくありません。

年齢相応のもの忘れとの境界の判断はやさしくありません。普通には、あるエ ピソ—ドがすっかり忘れ去られていた、あるいは大切な約束をまるつきり忘れていたといつたことがあるかどうかで判断 します。年齢相応のもの忘れの場合には、こぅした症状はごく稀です。これに対して、認知症の場合は、友人と約束したこと自体をすつかり忘れてしまいます、年齢相応のもの忘れで、その時点で約束したことを忘れていても、その事実を話せ ば思い出すことができるのとは、ここか違います。

一方、硬膜下血腫や悪性腫瘍の脳転移にょるケースでは、数日から数週程度の 期間で症状が目立ってきます。また脳血管障害や薬物の副作用にょるものなら数時間から数日以内に症状が出てきます。

2.発症してから今日までの経過

発症に気づいた時点から今日までの経過を、時の流れに沿って要領よく述べら れる家族は稀です。このため医師は、家族に印象に残つているェピソードを順次たどつてもらうように誘導します。もの忘れに由来する事件やもの盗られ妄想や嫉妬妄想によるトラブル、徘徊•迷子のエピソ—ドなどが述ぺられることでしよう。

3.記憶障害の内容

医師は、つき添った家族に、患者さんの記憶障害の内容を聞きます。

記憶には、記銘、保持、そして想起の3段階があります。つまり、人は出来事 に遭遇したとき、その経験を新たに覚え (記銘)、記憶に留め(保持)、必要に応じて思い出す(想起)という3段階の経 過をたどるわけです。

最も多い変性性の認知症であるアルッ ハィマ—病(AD)やレビー小体型認知 症(DLB)の記憶障害の基本は、記銘力の低下にあります。つまり新たに覚えることができなくなるのです。

しかし、初期のぅちは保持•想起の能力は保たれるので、古い記憶はかなり正 確です。このため、今いったばかりのことを忘れたり、同じことを何度も尋ねたりするのに、ずっと昔の記憶は細かいところまで正確たといつたことが少なくありません。

4.精神症状.行動異常

認知症に伴ぅ行動異常障害と精神症状 を B P S D (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼びます。 BPSDは、介護する側にとつて、記憶など認知機能の障害よりも、実に大変な苦痛をもたらす症状です。このBPSDの問題で、多くの家族が医療機関への受診を決心されるといわれます。

具体的には、暴言.暴力、徘徊.行方不明、妄想などがあります。多くは当事者の前で家族が口にするのは憚られるような内容です。こうした問題は少しずつ 姿を変えながらも数力月から数年にわたつて続きます。

また、レビ—小体型認知症(DLB) に見られるレム陲眠関連行動異常や幻視などのように、本人自らが苦痛を訴える こともあります。

5.現在の生活状況

患者さんの日常生活の基本的な流れを医師がお尋ねするでしよう。起床時間、 新聞を読むとか散歩といつた習慣、1日のスケジュール既要、そして飲酒習慣ゃ服薬管理などが尋ねられます。また、意欲的に取り組めるかとか、集中力はある かといつたことも聞かれることがあります。

食行動についても話しておきましょう。 というのは前頭側頭葉変性症(FTLD)やアルツハィマー病(AD)患者さんは、大食いになったり甘いものを好むようになつたりすることがあるからです。

6.問題点のまとめ簡易テス卜

以上の面接から大まかな問題点が明らかになると、次は認知症の重症度を大ま かに把握する検杏が行われます。そこで 用いられる知能テストは、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などの 簡単で、かつ精度の高いものです。

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