アルツ八イマ—病の臨床経過について

投稿者: | 2017年8月24日

1-1 原因⇒アミロイド カスケ—ド説が最有力

アルツハィマー病(AD)は認知症の 原因疾患として最多と考えられています。 変性性認知症のなかでは唯一、承認された治療薬もあります。

ADの病因は現時点では不明です。しかし、その脳のなかに特徴的にみられる 老人斑を構成する脳内に存在するタンパ ク質のアミロイドβ(Aβ)にその原因 を求める考えが主流です。つまりAβの切り出し、凝集をスタートとして、変性した神経線維の束である神経原線維変化 (NFT)を生じ、さらに神経細胞死へ と至るという考え方をアミロイドカスケード説といいます。カスケ—ドとは、ひ とつの原因が次々と別の原因を加えながら症状を進行させる様子をカスケ—ド、 つまり滝になぞったものです。Aβとは もともと誰もが自分の頭のなかにもって いるものです。もともとは神経細胞の膜 のなかに母体となるタンパク質として埋 まっています。そこから切り出されて 外部にばらまかれて、正常の脳ならば新 陳代謝されてたまることはありません。これがたまっていって大きくなり、老人 斑というシミになるプロセスで神経細胞 を殺してしまい、これが認知症として現 れる元になると考えられています。

ところが、脳にこの老人斑がないのに、認知症の症状が出る患者さんがいます。 そこでこのAβ中心説に対して、NFT を構成するリン酸化されたタウに注目す る立場も有力です。タウとは、微小管結 合タンパク質で、このタウが線維化して 沈着したものをNFTといいます。NFTもまた、患者さんの脳内にたまるものとして昔から有名です。

1-2 アルツ八イマ—病の臨床経過⇒前駆期、初期、中期、末期と進行する

従来アルツハィマー病(AD)の臨床経過は初期、中期、末期に分けて論じら れていました。最近では根治療法となる可能性をもった薬物の出現により、早期からさらに前駆期が注目されるようになっています。

1-2-1 アルツハイマ—病 の前駆期とは

従来アルッハイマー病(AD)の臨床 研究では、家族や周囲の人々が振り返ってみて初めて異常に気づいた時点をもって発症時点としています。ADの臨床の 特徴のひとつは、いつとはなく潜行する 発病の仕方にあります。もっとも発症に 気づかれる10年も前には、内嗅野でアミ ロイドβの沈着が始まることがわかっています。

最初のアミロイドβ (Aβ)沈着から 上述の発症時点までを、便宜的に前駆期 と呼んでいます。しかし病理学的変化は あるわけですから、実は既に病気は始まっているのです。

以前がら加齡に伴うもの忘れのしやすさとAD前駆期・初期の症状としての記憶障害はどう違うのかという点がよく論議されました。いろいろな案が出され ましたが、今日最も注目されているのが 軽度認知障害(MCI : Mild Cognitive Impairment)です。

今日のMCIとは、現時点では認知症 でも正常でもないが、近い将来ADへと 進行する可能性の高い状態を意味します。おおむね、ごく早期のADととらえられています。

このMCI期と初期を併せて前駆期I として、それに第Ⅱ期、第Ⅲ期と続くとする分類法があります。

1-2-2 前駆期Ⅰ

記憶に限って認知障害を認める時期です。

軽度認知障害(MCI)という状態は 数年の幅(期間)をもっています。生活面では、「いいたい言葉が出てこない」、「やる気がない」といった問題、あるい は仕亊や家事における慎重さや注意不足が指摘されます。

1-2-3 第Ⅱ期

これは2〜10年続き、この時期に記憶 障害が明らかとなります。

失語症状が現れてくれば他者のいうことを理解するのが難しくなります。また 会話内容が空虚になったり、やりなれた簡単な行為ができない失行症状もみられたりします。

この時期を特徴づけるのは行動異常と精神症状、つまりBPSDです。多くの例で、妄想、焦燥、不穏、うつなどの症状がみられます。また少しレベルの高い 日常生活機能、たとえば運転、買い物、食事の支度といった面での障害が着実に進行します。

1-2-4 第Ⅲ期

認知症症状はさらに重度になります。 身体面ではやせが進むとともに、運動機 能にも支障をきたし、いつも失禁するようになっていきます。

衰弱が徐々に進むのに伴って様々な病 気にかかりやすくなり、これが最終的に 死に結びつきます。死因として多いのは、 嚥下性肺炎や尿路感染に由来する敗血症 などです。

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